東京から船橋・津田沼・稲毛へ快適に帰宅したい場合でも510円で足りなくなります。

2019年3月16日に実施されるJR東日本ダイヤ改定では、「ホームライナー千葉」下り5本が消滅することになりました。快適に帰宅したい場合は、快速グリーン車770円を利用するしかありません。

これでいいのでしょうか? まずは「ホームライナー千葉」の現状を把握していきます。


<0>目次


1、「ホームライナー千葉」の紹介
2、「ホームライナー千葉」の利用実態
3、ダイヤ改定後、快適帰宅の選択肢は?
4、なぜJRは「ホームライナー千葉」を廃止したのか?
5、2020年のダイヤ改定では何を望むか
まとめ



<1>「ホームライナー千葉」の紹介


まずは、現在(2019年1月7日)の運転時刻をおさえておきます。

「ホームライナー千葉1号」 東京19:16発 千葉19:55着 (10両編成)
「ホームライナー千葉3号」 東京21:00発 千葉21:34着 (10両編成)
「ホームライナー千葉5号」 新宿21:07発 千葉21:56着 (5両編成)
「ホームライナー千葉7号」 東京22:26発 千葉23:00着 (10両編成)
「ホームライナー千葉9号」 東京23:00発 千葉23:37着 (5両編成)


※ 1・3・7・9号の乗車駅は東京のみ、降車駅は船橋・津田沼・稲毛・千葉。
※ 5号の乗車駅は新宿・秋葉原のみ、降車駅は東京発と同様に船橋・津田沼・稲毛・千葉。

※ いずれもE257系特急型車両、土休日運休。
※ ライナー料金は510円。車内入場時に検札。

(解説)

・夜間・深夜帯に下りのみ5本の設定です。うち、東京発が4本、新宿発が1本です。朝ラッシュ時上りの設定はありません。

・1・3・7号は、E257系10両編成1本を3往復にて運用しています。夜間帯に留置しているのはもったいないので有効活用しています。

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<2>ホームライナー千葉の利用実態


次に、「ホームライナー千葉」はどれだけ利用されているのか、そしてどの駅でどれくらい降車があるのか見てみましょう(※以下データは、いずれも筆者が乗車した号車での統計であり、公式の数字ではありません)。

(乗車率データ)

「1号」東京19:16発 6割    (2016年5月11日乗車)
「3号」東京21:00発 6割    (2016年5月18日乗車)
「5号」新宿21:07発 満席に近い (2016年6月11日乗車)(新宿から乗車)
「5号」新宿21:07発 6割    (2017年2月27日乗車)(秋葉原から乗車)
「7号」東京22:28発 5割弱   (2016年3月24日乗車)
「9号」東京23:00発 6割    (2016年1月21日乗車)


※ 5号は、新宿から乗車分は3両、秋葉原から乗車分は2両が割り当てられています。

(解説)


・このデータにより、東京発についてはおおよそ6割程度の乗車率ととらえてよいでしょう。この「6割程度」の乗車率をどうとらえるか。一言で言えば「すごく多くもないが少なくもない」です。他の路線では通勤ライナーといえば満席に近い状態であることが多いです。しかし総武快速線においてはなぜかそのような状態になっていません。しかし、半分以上の乗客がいるので少ないともいえません。

・具体的にどれくらいの人数が利用しているかをイメージしてみます。E257系車両の総座席数は10両編成時612席、5両編成時306席です。すなわち10両編成の1号と3号では6割の乗車率で計算すれば、1本あたりおおよそ367人が利用していることになります。

(降車数データ)


「1号」東京19:16発  船橋0人、津田沼16人、稲毛7人、千葉16人位
「3号」東京21:00発  船橋3人、津田沼6人、稲毛8人、千葉22人
「5号」新宿21:07発  船橋11人、津田沼13人、稲毛11人位、千葉20人以上
「5号」秋葉原21:21発 船橋4人位、津田沼10人、稲毛10人位、千葉10人
「7号」東京22:28発  船橋-人、津田沼3人、稲毛10人、千葉15人
「9号」東京23:00発  船橋-人、津田沼11人位、稲毛6人位、千葉15人位


※ 7・9号の船橋降車数については、船橋が新規停車となる前の乗車のため通過していました。

(解説)

・東京発については、津田沼・稲毛・千葉ともに降車数が多い。稲毛については他社路線と接続していない割には多いといえます。一方、船橋での降車は新宿発以外は少ない状態でした。


<3> ダイヤ改定後、快適通勤の選択肢は?


(東京から千葉駅までの場合)

(1)快速グリーン車利用。770円(平日・事前購入の場合)
(2)特急「しおさい」自由席利用。510円。
(3)「成田エクスプレス」普通車指定席利用。千葉駅に停車する4本のみ。房総料金回数券(4枚つづり・有効期間1か月)を利用すれば1枚当たり720円。


※ 東京から船橋・津田沼・稲毛駅までの場合は(1)のみとなります。

(解説)

降車駅が千葉駅の場合は、辛うじて特急「しおさい」自由席を利用することができます。とはいえ夜間・深夜帯の「しおさい」は東京発18:48、20:10、21:43の3本しかなく(2019年1月現在)限られています。

また、「成田エクスプレス」は東京発18:03、18:33、19:03、20:03の4本のみであり(2019年1月現在)、これを過ぎると設定がありません。

成田エクスプレスはお得に乗車する場合、回数券という制約がありますので利用しにくさがあります。そのため、ダイヤ改定後「しおさい」自由席が混雑することが予想されます。

船橋・津田沼・稲毛駅で降車する場合は、快速グリーン車しか選択の余地はありません。

(新宿から千葉駅の場合)


(1)特急「あずさ30号」新宿20:09発千葉行きの普通車指定席750円。
(2)「成田エクスプレス」普通車指定席利用。千葉駅に停車する4本のみ。房総料金回数券(4枚つづり・有効期間1か月)を利用すれば1枚当たり720円。


※ (1)は、2019年3月ダイヤ改定による中央本線特急料金制度が変更になった後のことです。
※ (1)は、船橋降車の人も有効です。

(解説)


降車駅が千葉駅の場合は、辛うじて「あずさ30号」1本と「成田エクスプレス」千葉停車4本のみが残されています。「成田エクスプレス」は新宿発19:39が最終となり最終時間が早いです。

成田エクスプレスはお得に乗車する場合、回数券利用という制約があるため、快適利用を希望する多くの人は「あずさ30号」1本を選択することになるでしょう。

秋葉原についてですが、「あずさ」は停車しません。また「成田エクスプレス」は通りません。そのため、秋葉原からの快適通勤はなくなります。


<4> なぜJRは「ホームライナー千葉」を廃止するのか?


鉄道会社側もそれなりの意図があってこのような結論を出しているのでしょう。その意図について考えます。

(予想される意図)


(1)「ホームライナー千葉」運用のための入場時検札等の人件費コスト、ライナー券売機管理コスト削減を図ったのでしょう。
(2)「ホームライナー千葉」廃止の代わりに、東京始発快速の増発3本と、津田沼行きから千葉行きへの区間延長2本を行い、快速普通車の混雑緩和・混雑の平準化をはかったのでしょう(※)。
(3)快速の増発によりグリーン車(1編成当たり180席)提供数も増加するので、快適通勤利用者はグリーン車で吸収できると考えたのでしょう。


(※)快速が増発・区間延長する電車の東京駅発車時刻
・増発する電車   19:15発、21:18発、23:01発(いずれも東京始発)。
・区間延長する電車 20:47発、22:15発。


(解説)


(1)ですが、なぜJR東日本は廃止するのかといえば、その発端は「コスト削減」でしょう。快適通勤はグリーン車に一本化すれば、ライナー券売機の管理も不要になりますし、入場時検札要員も不要になります。

しかし、通勤ライナーは通勤者の大量快適輸送という存在意義があり、コスト削減のためだけに廃止していいのかというと疑問です。そして収益的にも黒字でしょうし、工夫して利用者を増やせばさらに利益を上乗せできる余地があるものです。

(2)の快速の増発・区間延長により混雑を緩和することは意味があります。特に区間延長は、比較的混雑度が低い津田沼行きと混雑度が集中する千葉・千葉以遠行きとが平準化されるため、これも意味があります。

しかし、いくら快速の混雑緩和をしたところでグリーン料金ではライナー料金より高くなるため、ライナー利用者の一定数は快適通勤の回数を減らさざるをえなくなります。

(3)のグリーン車で「ホームライナー千葉」を利用していた乗客を吸収できるかについてですが、全員快速グリーン車を利用すると仮定した場合、グリーン車では受け止めることができなくなることが予想されます。具体的には以下の通りです。

・1号・3号利用者約367人に対して、増発する19:15発・21:18発の快速グリーン車180席のため、約187人が着席できなくなります。
・7号利用者300人弱に対して、区間延長する22:15発の快速グリーン車180席のため、120人弱が着席できなくなります。
・9号利用者約183人に対して、増発する23:01発の快速グリーン車180席で受け止めることは可能です。

夜間ラッシュ帯では、現状でも横須賀線方面から来る快速は、東京発車時点で満席となる電車もみられます(筆者体験済み)。そのためグリーン車利用ですら混雑が酷くなることもでてくるでしょう。


<5> 考察


通勤とは、フルタイム勤務で出勤している人にとっては毎日のことです。もし毎日利用していた人が快速グリーン車に変更した場合はどのような負担増となるか見ていきます。

(1か月あたりの負担)(20日として計算)

ホームライナー千葉利用 510円×20日=10200円
快速グリーン車利用   770円×20日=15400円


となり、「1か月あたり5200円の負担増」となります。お金を出せる人もいるでしょうが、通勤客の一定数にとっては毎日気軽に利用とはいかなくなり、利用回数を減らして混雑した電車を選択することになってしまいます。

2019年ダイヤ改定は決まってしまいましたが、その次のダイヤ改定では、より多くの乗客が気軽に利用できるよう、せめて500円程度で利用できるようにぜひ復活してほしい、と考えています。


◆まとめ

(1)2019年3月のダイヤ改定にて「ホームライナー千葉」5本が全廃されます。東京から船橋・津田沼・稲毛への快適通勤は510円ではできなくなり、快速グリーン車770円を利用するしかありません。東京から千葉への安価な快適通勤では辛うじて特急「しおさい」自由席510円利用が残されています。

(2)「ホームライナー千葉」の乗車率は、東京発1・3・9号では約60%、7号では約50%弱でした。新宿発5号では、新宿分満席に近い、秋葉原分60%でした(※私が乗車したデータです)。比較的安い料金の割にはすごく多くはありませんが、少ないともいえません。

(3)「ホームライナー千葉」から快速グリーン車利用に変更すると1か月あたり5200円の値上げとなり(※20日間利用の場合)、一定数の人にとっては快適通勤の回数を減らして混雑した電車に乗ることになるでしょう。多くの乗客が気軽に快適通勤するためにも「ホームライナー千葉」の復活を希望します。


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